ご要望もあり肖像権などに配慮し、子ども達の顔やパフォーマンスはあまり認識できないよう加工編集していますが、雰囲気だけでも伝われば嬉しいです!!
短い制作期間でしたが電子オルガンのリアルタイム演奏の良さを生かすとともに多重録音も活用し、より厚みや深みのある音楽作りを目指しました。
既成作品ではない創作ミュージカルでは、本番までの過程で音楽も修正・変更があることが日常茶飯事です。
例えば、このミュージカル公演では子どもが主体となってパフォーマンスをしていますが、ダンスや体の動きの関係で歌の音程の不安定になりがちなところは伴奏だけでなくリードメロディ音を追加してフォローして欲しいとか、セリフだけだと間が持たないので、台本のこのセリフからBGMを挿入して即興で盛り上げて煽って欲しいなど要望があるのです。他にも今回は僕の音楽的な判断で厚みを出すため「アー」「ウー」というバックコーラス音を電子オルガンで出したりもしました。
また、セリフのスピードや舞台転換などの時間はその時によって何秒と読めない場合も多いので、音楽を即興的に入れるということも多いです。(この場合の即興とは、ジャズやポップスにおけるモード(音階や旋法)を使ったアドリブだけでなく、メロディの作曲や音楽全般のトータルコーディネイトを臨機応変に対応することを指します。)
他には、物語の途中で、飛べると祈ると見えない翼が生えて空を飛ぶというファンタジーシーンがあるのですが、商業演劇のようにワイヤーで吊って子ども達が空中に浮かぶというような大掛かりなセットを用意するのは難しいので、音楽で空を飛んだ感じを出して自然に歌に移行してほしいというような要望もあり、これもシーンを見ながら即興で音をつけました。(上記動画3分31秒あたりのところです。)
当初エンディング曲は、いつもと違うパターンにしたくてオシャレな感じ?で「静か」に終わらせる予定でしたが、銀メタルテープや紙吹雪発射をするキャノン砲という特殊効果装置のタイミングの関係で「パオーン」とホルンが象のように鳴き叫ぶ「エレファントホルン(ホルンのグリッサンド奏法)」を入れ、緞帳(どんちょう)ダウンとともにティパニーがダンダンダンダーーン!!という王道の終わり方に変更しました。
こうした対応は、ソロ演奏が得意とする分野ですが、特に電子オルガンはこうした即興演奏を多彩な音色で表現できる良さやメリットがあると思います。リハーサル時間や制作期間がタイトである場合には特に有効です。
以前、小編成(1管編成)オーケストラと電子オルガンという編成の舞台音楽の作曲を担当させて頂いたことがありますが、制作期間が1年切っており、この時も電子オルガンソロの即興演奏部分を作り、時間の読めない部分を切り抜けたことがあります。
電子オルガンの祖先は、パイプオルガンとされていますが、その中間にはシアターオルガンという楽器があり、(パイプオルガン→シアターオルガン→電子オルガンという系譜)このシアターオルガンは、無声映画(サイレント映画)と言って音がない映画の時代に、劇場や映画館に設置され即興演奏で映像を盛り上げていた歴史があるそうです。
楽器の大きさもパイプオルガンの電子オルガンの中間ぐらいで、移動運搬はできますが、かなり重厚で重量もあり会場据え置きをメインとした作りになっています。
僕もシアターオルガンを一度だけ演奏したことがあるのですが、性能や仕様もパイプオルガンと電子オルガンの混血と言いましょうか⁈ シンバルや鉄きんが楽器後方に設置してあり、設定して鍵盤を押すと後ろでシンバルがジャーンと鳴ったり、バチが鍵盤と連動して自動で動き鉄きんが可愛く響くというスゴイ機構です。アナログ版の一人オーケストラでしたね。
<シアターオルガンでの「スターウォーズ」演奏の様子>
↓
また、パイプオルガンも製造された時代や地域によって楽器の形状、性能に差があるため即興演奏をしながら教会音楽の奏楽をする歴史があります。
<パイプオルガンでの即興演奏の様子>
↓
↓
また、DTM(コンピュターミュージック)とシンセの要素や技術、音源が楽器に採り入れられるようになり、打ち込みも学習したり、新たな奏法や演奏表現も模索、研究されています。
テクノロジーが進化するとともに、電子オルガンの機能や性能も進化、コンパクトになった現代では、様々なジャンルの音楽が必要とされる舞台音楽(特に創作作品)の世界も電子オルガンや奏者の良さを発揮できる分野の一つと言えるかもしれませんね。
0 件のコメント:
コメントを投稿