電子オルガン奏者/作編曲家 安井正規のブログです。日々、感じた事や思った事を気ままに綴っていこうと思います。ステージやホームページとは、違った角度から僕の想いを感じてもらえればと思います。
2015年2月28日土曜日
「We are the stars.」制作秘話&エピソード3~イラスト&動画作成編~
↑<サイン入り完成作品>
「We are the stars.」制作秘話&エピソード第3回目は、イラスト&動画作成編です。ひょんなことから、お嫁さんと動画制作してくれた「ちかいぬ」さんが知り合いになり、「ちかいぬ」さんからイラストレーターの「みくに紘真」さんを紹介して頂きました。実は、ユーチューブアップにあたり、動画作成はフリー素材を使って自分で作ろうと思っていました。いわゆる絵師(イラストレーター)さんや動画師(アニメーションや動画作成担当)さんとのやりとりは、メールでのやりとりだけで済ませようとする方も多くプロジェクトが音信不通になり自然消滅したり、納期が大幅に遅れたりとトラブルが絶えないと聞いていたからです。
みくにさんは、かねてよりボカロ作品にイラストを付けてみたいという想いがあったそうで、僕のプロジェクトにも興味を示して下さりました。
個人的には、メーカー、代理店、プロダクションやレコード会社のタイアップ、ステマ(ステルスマーケティング)とも相まって近年のボカロ動画作品の傾向として多感な思春期世代を意識した仕掛けたっぷりの今風の奇抜かつ斬新で刺激的な
歌詞(どういう意味?と思わせる日常であまり使わない哲学的だったり難解な四文字熟語や中二ワードと呼ばれるアングラ系、ダークファンタジー的だったり刹那的な言葉の多用、動画テロップなしには追えないこれでもかとたくさん詰め込んだ譜割りの詞)
音楽(人間ではとても歌いにくいリズムや高音程、超高速テンポ、突発的、偶発的なハデな転調、DJ、リミックス的要素を取り入れたトリッキー&エキセントリックなサウンドメイキングなど)
映像(アニメーションやエフェクトを使用した凝った動画)
の作品が多いと感じていて(注:ボカロカルチャーが今までにない音楽世界を切り開いたという点で僕自身は、こうした傾向を全て否定しているわけではない。)僕の「We are the stars」は、刺激という点では弱いかも?と思っていましたが、みくにさんは是非イラストを書きたいと言って下さりました。
僕の家で面談と打ち合わせを行い、僕の想いや演奏を聞いて頂いた上でその場で構図の違う2枚のラフスケッチをサラサラと書いて下さりました。「ちかいぬ」さんも歌詞を入れる作業を手伝いたいと言ってくれ、プロジェクトがスタートしました。
作業の進め方として、1.スケッチ→2.仮色付け→3.本描き込み→4.微調整という感じで、それぞれの段階で必ず進捗状況をメール頂きました。
実は、この行程(進捗状況確認)を嫌がるクリエーターが少なくないのです。「修正は完成品が出来てから。任せて下さい!!」という感じで言われて、完成してからでは大幅な改訂を行わなければならない場合、納期もあり、こちらの想いは断念せざるをおえないという状況になってしまうのです。また完成まで、こちらのイメージに合うかとても不安にさせます。尊重してお任せしたいのは山々なのですが、発表する場が幅広い層を対象にしたものや広く一般向けとか公的であったりクライアントの意向がある場合、色々な制約が生ずるので確認がどうしても必要なのです。
この点、みくにさんはよく理解して下さり納期も守って下さりました。高蔵寺中学校でのコンサートでライブとしてこの作品を発表するということも考えていたため、納期を守って下さりとてもありがたかったです。
当初、曲の途中でイラストを変えるということも考えて下さっていましたが、分野は違えど同じクリエーターとしてプロジェクトの目的(楽曲が持つ世界観やイメージ、メッセージを伝えること)を達成する上で、予算に関わらず必要以上の労力と負担をかけたくないという想いと1枚の静止画の持つ力や魅力というものにみくにさんの力を注いでもらいたいという気持ちで、あえて1枚の静止画でお願いしました。
イラストには、スイフヨウのような植物のモチーフが描かれています。茎や葉の部分は、海にゆらめく海藻のようなしなやかで柔らかい感じです。みくにさんは、曲が盛り上がるところで「草木が芽吹くような、柔らかい蔓(つる)が光に向かって伸びていくようなイメージ」が浮かんだそうです。
僕は、完成直前作品を観た時、もう一度みくにさんの言葉を思い出し、ハッとしたのです。みくにさんは、蔓そのものを描きたかったのではなく植物の成長過程の高速再生を観るような重力にあらがい「愛」という光に向かってスクスクと成長する生命のエネルギーや自然のサイクル(循環)を表現したかったのではないかと、、、。
↓参考動画
感動的でした。
一枚の作品ですが、時間の流れを感じさせる素敵な作品を描いて下さりました。
また、近未来的だったりラノベっぽく描かれることが多い初音ミクのキャラクターもキュートさやポップさを持ちながらも人間的な暖かみや感情を感じさせてくれます。
歌詞テロップについては、デザイン性よりも年配の方や視力の弱い人でも視認しやすいよう要望をお伝えし「ちかいぬ」さんが対応して下さりました。
前述の流行りの刺激的なボカロ作品の傾向とは逆行するベクトルのテイストかもしれませんがイラストと歌詞、音楽を聴いてくださる人の頭の中で再構成して頂き、心を鎮めイマジネーションを豊かに働かせ、個展の絵画を眺めるようなゆったりとした気持ちで曲を鑑賞頂ければ嬉しいです。
僕の要望やイメージに歩み寄り、作品作りに協力して下さった、みくにさん、ちかいぬさんにとても感謝しています。
みくに紘真さんpixivサイト
↓<途中過程で頂いたイラストの一部>
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