2014年5月23日金曜日

中川第九レポート~総括~

 色々な想いが詰まった中川第九演奏会でした。電子オルガンとクラシック音楽の関わりについての問題は、前回のブログで書いた通りです。社会の大きな流れを無視し、固執すればするほど孤立し、やがて衰退するのではないでしょうか。
 しかし、この問題は、実はもっと根深い別の根本的な問題があるような気がするのです。それは、音楽演奏の中でも非常に競争の激しいクラシック音楽演奏分野で伝統の保守、組織統治、プライドという理由を傘に、いつのまにか排他主義、権威主義、階級格付け社会という意識の問題を生み出してしまっているのではないか。それも無意識の内に。芸術的なクラシック音楽も皆と共有するためのものではないのか。そういった意味でどこかでベクトルが違う方向に向いていないか。その社会に関わる人たちは、自分のポジション(立ち位置)を考えたりシガラミから何か問題や違和感を感じつつも声を上げることができず、目を背けている人が多くいるのではないか。
端的に平たく言えば「陣取り合戦」。これは、その昔、共演させて頂いた指揮者と楽屋での話していて感じた事です。問題は、音楽以外のところなのです。
全人類の為に作品を書き続け第九を作曲したベートーベンは、こうした状況をどう思うのだろう。もちろんこれは、全てのクラシック音楽の世界を語っているのではないのです。電子楽器や音響技術への反発の根本原因についてを書いています。
 今回の演奏会の2部ソリストは、ソプラノ田川えりさん、第3部第九のソリスト、ソプラノ岩川亮子さん、アルト松川亜矢さん、テノール蜂須賀一晃さん、堀内紀長さんといった若手の素晴らしい歌手の皆さんでした。また、レッツシングインコーラス(名古屋市内中学校合唱部)のフレッシュな演奏、そして主役の名古屋なかがわ第九合唱団による情熱的な演奏。どの歌声もその年代にしかない素晴らしい歌声でした。演奏陣も藤原一子先生、竹内沙奈さんのピアノ伴奏を聞くとピアノの減衰音が持続する歌声と対比効果があり、今更語る必要ないマッチング、安定したテクニックと美しい音色で声楽を支えていました。
 第三部、第九の演奏陣は、第一部も指揮した指揮者の角田鋼亮さん、電子オルガンの木村理恵さんは僕と同じくヤマハ音楽教室出身、パーカッションの佐久間真里先生はオリジナルコンサート(ヤマハ音楽振興会主催)で演奏されていますし、もうお一人のパーカッションの林朋美さんは佐久間先生のお弟子さんで今までにも何度か僕と共演させて頂いています。また、小牧の仕事でご一緒した編曲の小塚憲二先生と楽屋でお話できたことも嬉しかったです。
 演奏で関わるうちに「自分を育ててくれた中川区、そしてヤマハ音楽教室、電子オルガンに恩返しする番ですよ」と言われているような気持ちになってきたのです。この声はまさかベートベン!?
 それは、ともかく人の役に立ちたいという気持ちと電子オルガンへの反発と真正面から向き合うことの板挟みで、「まな板の上の鯉」のような心境でした。
自分なりに一生懸命、向き合い語り合い取り組んだ演奏会でした。少しは恩返しできたかなと思っています。
これもプロデューサーの前田さんの情熱、協賛して下さった中川区の矢木楽器さんや多くの人たちの励ましや支えのお陰で何とか乗り越えることができたのです。心より感謝しています。
最後に。打ち上げで団長さんとお話していたのことなのですが日本のクラシック音楽文化の一つである第九演奏と合唱団の抱える問題は「継続すること」だとおっしゃっていました。第九合唱団が結成されても維持継続していくことは並大抵のことではないということです。参考ニュースをお読み下さい。→http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/region/news/20140115/1474366
今回は、区民の一員として電子オルガン演奏の素敵な機会を頂きましたが、電子オルガン伴奏であるなしに関わらず中川区の素晴らしい文化として「なかがわ第九合唱団」の歌声がいつまでも引き継がれていくことを願ってリポートのまとめとしたいと思います。
打ち上げにて。指揮の角田さんと。
他のメンバーの方のブログ掲載許可が取れていない関係でこの写真のみです。

1 件のコメント:

  1. 安井さん
    ご無沙汰しております、ご一緒させていただいたソプラノの田川えりです(^^)
    先日は大変お世話になりました。
    同郷(かなりのご近所)で、大学の先輩とこのようにご一緒させていただけて、本当に嬉しかったです。
    今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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